リフィル処方ってなに?
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- リフィル処方箋の対応
- 薬学生向け
今年は臨床も研究もガンガンできたらいいなと思っています.
よろしくお願いします.
さて,今年初めての記事になるんですが,「リフィル処方」についてです.
ついに,来年度の診療報酬改定から導入されることが決まったそうですね.
そこで,リフィル処方導入に向けて個人的な対策というか,対応をまとめてみたいと思います.
・リフィル処方について
具体的な内容についてはまだ決まっていないこともあるかと思いますが,簡単にまとめてみましょう.
基本的な内容としては,「リフィル=再使用」できる処方箋という名の通りで,1枚の処方箋で複数回の調剤を受けることが出来るようになります.
例えば,6ヶ月分のリフィル処方箋を例に取って患者さんの動きを見てみましょう.
初回:患者さんはまず医療機関を受診します.そこで診察を受けて慢性疾患であり,状態が安定していると判断されたとします.(いわゆる,定期薬の処方を毎回もらっていく患者さんです)
そこで6ヶ月分のリフィル処方箋が交付されます.
患者さんは処方箋を持参して薬局に訪れます.
薬局で薬剤師によって,患者状態の再確認,処方箋監査を経て調剤が行われます.
この際,カナダなど既にリフィル処方が一般的となっている多くの国では何ヶ月分の薬を調剤するかは薬剤師の判断になります.
1ヶ月程度で薬剤師による再診が必要と判断すれば1ヶ月,薬剤師も状態が安定していると判断すれば3ヶ月など,ケースバイケースです.
仮にここでは3ヶ月の調剤にするとしましょう.
従来の処方箋調剤では,処方箋は薬局で保管になるため患者さんの手から離れますが,リフィル処方箋の場合は処方箋も返却されます.残りの日数分の調剤を受けるのに必要なためです.
ここで患者さんは3ヶ月分のお薬とリフィル処方箋を渡されて帰ります.
2回目:3ヶ月後,従来であれば薬を貰うのに再度,医療機関を受診する必要がありました.
しかしリフィル処方箋を持っている患者さんは,医療機関に行く必要なく,最初から薬局に来局できます.
そこで薬剤師によって状態の確認がされ,慢性疾患の状態が安定していると判断されれば,再び薬局で調剤を受けることができます.
もし状態の変化があるなど,薬剤師が再受診が必要と判断すれば再受診することになります.
ここでは薬剤師による診察の結果,状態が安定していると判断されたとしましょう.
患者さんは残りの3ヶ月分の薬の調剤を受けて帰ります.
2回目は医療機関を受診することなく,薬を受け取ることができましたね.
ここでは合計6ヶ月分のリフィル処方箋を使い切ったので処方箋も薬局保管になります.
また3ヶ月経った時(初回の受診から数えると6ヶ月後)には,再度,医療機関を受診することになります.
さて,リフィル処方の流れを見てきましたが,患者さんの利点をまとめてみましょう.
(1)従来と比べて,医療機関を受診する回数が減るため,時間的,金銭的な節約になる.
(2)医療機関への受診回数が減らせるため,遠方にある医療機関へ受診しやすくなる.(薬局は家の近くをかかりつけにすれば,遠方に行くのは受診時だけ,普段の薬は近場の薬局で調剤が受けられる)
(3)医師の他に,薬剤師という薬物治療のプロフェッショナルの目で従来より詳細に状態を評価してもらうことで,より質の高い薬物治療を受けることができる.
・薬剤師に求められること
リフィル処方導入にあたって,上記のような利点を患者さんは期待することでしょう.
それを実現するために,我々薬剤師に求められることをまとめてみましょう.
(1)「Do処方(前回と同じ処方内容で調剤すること)」か「再受診」かを判断する力.
(2)慢性疾患の薬物治療管理を,薬剤師単独の責任で行う覚悟
(3)リフィル処方を形骸化させないために,高い倫理観を持ってリフィル処方を行うこと.
この辺りではないでしょうか.
リフィル処方導入により,医師の目を挟まずに,薬剤師単独でDo処方継続で良いかを判断することが求められます.
裏を返せば,それが認められたということは,薬剤師に「薬剤師単独で慢性疾患の薬物治療管理ができる」と評価されたと捉えることもできます.
実際にカナダの研究(RxACTION研究)では,高血圧治療に対して,医師が薬物治療管理をする場合と,薬剤師が薬物治療管理をする場合では,薬剤師による管理のほうが治療成績が良かったというデータもあります.
薬剤師という職は,まだまだ一般の方からは,処方箋に沿って調剤した薬剤を渡すだけだと思われている事が多いと思います.
リフィル処方を通して,薬剤師本来の仕事は「薬物治療」であると,しっかり胸を張って示せるような仕事をしていきたいと思います.
次回から,具体的な疾患ごとに,リフィル処方を受け付けた際の対応を勉強してみたいと思います.
高血圧のリフィルでは,患者さんの何を診てどう評価し,判断するのか.血圧の数値だけで判断するような薬剤師にはなりたくないですよね.
脂質異常症では?糖尿病では?他疾患併存の場合は?腎/肝機能低下もある場合は?
責任と自信を持って対応できる薬剤師になるべく,リフィルの本格導入の前に一緒に勉強しましょう!
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